地域の方に楽しんでいただける祭がしたい

祭MAGAZINE

「どこの祭が最初に今まで通りの内容で開催できるんかなぁ」
最近、祭好きな方とお話したときに、ぽつりと呟いていました。

今まで通りの祭。
これまでは当たり前にあった風景。
私も昔の動画を見る度に懐かしく、そして恋しく思います。

しかし、今は感染リスクを考えると、安易に実行を決断することはできません。ほとんどの地域が、今年も規模縮小という苦渋の判断をしています。

「コロナ禍だけど、総社宮では地域の子供たちを楽しませる祭をしたい!」
そんな中、岡山県の備前国総社宮では、武部宮司のこの想いで今できる形で祭を執り行ったそうです。

総社宮の職員の長崎さんに詳しく聞いてみました!

神社に足を運ぶことのなかった方にも祭を楽しんでもらいたい

長崎さんの自己紹介をお願いします。

備前国総社宮 職員の長﨑大輔です。好きな食べ物は、境内で採れたハチミツです!
お宮のお祭には全て携わっていまして、ポスター、チラシの作成から、お祭の演者の方やお店の方の段取りなど、主に裏方をしています。

私と武部宮司とはハチミツでご縁が繋がり、現在はお宮の仕事をしながら境内地の蜜蜂のお世話をしております。ちなみに、20才の息子は同じく総社宮で神主をしており、毎日親子で神社にいます。

▼20才の神主 長崎遼真くんが未来に残したいもの

Q. 今年の夏、備前国総社宮では2つの祭を実施されたそうですが、どんな祭をしたのですか?

8月7日に夏越大祓祭こわーい話、8月9日に岡山パクチー奉納祭を執り行いました。

Q.「夏越大祓祭こわーい話」とは何ですか?

「コロナだけど、子供たちを楽しませることをしたい」そんな武部宮司の提案を受け、地元の大人たちや有志の力で、「こわ〜い話し」の第1回目を開催したのが令和2年。
語り部が神社の境内で怪談を子供達に読み聞かせるという、あるようでなかった企画です。(笑)

今年も悪ふざけの大好きな大人たちが新しい怪談話を準備し、無事に第2回を開催することができました。

昨年に続き、最後まで頑張って怖い話を聞けた子には「勇者の証」としてオリジナル缶バッジをプレゼントしています!

今まで神社に足を運ぶことのなかった子供達、親御さん、みんなで楽しんでもらえると嬉しいなと思い、総社宮の仲間たちみんなで準備しました。

(昨年の勇者の証 缶バッジ)

Q. 今年の「夏越大祓祭こわーい話」では、どんなことをしたんですか?

まずは、酷暑の中、舞姫が頑張って舞を奉納しました!
そして、夜はこわーい話で涼みました!

(真夏の日差しの中、舞姫の子供たち頑張りました!)

(こわーい話の最中。語る大人も聞く子供たちも、みんな真剣です。)

(こわーい話の後、武部宮司から子供たちへご挨拶の言葉がありました。)

(神事を執り行う若き神主 遼真くん)

雨は降らない予報の中、こわーい話が終わった途端にどしゃ降り。これは総社宮あるあるです!(笑)

この祭のあと、とても嬉しいことが起こりました。
夏越大祓祭こわーい話がきっかけとなり、最近では親御さんと虫取りに来宮されたり、サッカーの試合帰りにお参りしてくれる子も増えてきたんですよ!

これからも「なんか、ここ、過ごしやすくて気持ちいいよね」と感じてくれる方が増えると嬉しく思います。

ちなみに、こわーい話はノーカットでyoutubeでご覧いただけます!
みなさんも是非涼んでください(笑)

▼夏越大祓祭 こわーい話 当日の様子

地域の人を元気づける祭と花火

Q. 今年の「岡山パクチー奉納祭」は、どのような形で実施したのですか?

昨年よりもさらに規模縮小で執り行いました。
今年も例年通り、まずは畑をお祓いするところから始まりました。

▼岡山パクチー奉納祭について
総社宮は、龍ノ口山の南側、その北側には(株)アーチファームという農場があります。
そこで備前の国で採れる特産物の黄ニラとパクチーが栽培されているのですが、その岡山マイルドパクチーの実りに感謝をする奉納祭を毎年執り行っています。

(武部宮司がアーチファームさんの畑をお祓いしました。)

(アーチファームの植田さんも神様にご挨拶。)

そして、お祓いをしたパクチーは、普段から岡山パクチーを取り扱う店舗に届けられ、各店舗で「岡山パクチー奉納フェア」として、数日間パクチー大盛り無料など、様々なメニューを展開します。ちなみに、お店は岡山だけでなく東京にもありますよ!

いつもは祭の当日、総社宮でも薬膳餃子にパクチートッピングし放題!地ビールと併せてお楽しみいただけるのですが、今年は飲食関係は全て取りやめました。
少し寂しい雰囲気になるかなと心配していましたが、久しぶりに会う仲間たちに元気をもらい、無事祝い納めることができて安心しています!

(例年より少し静かなパクチー奉納祭。)

また、今年は、私にとって、例年のパクチー奉納祭よりも少し特別だったんです。
なぜかというと、日々私がお世話をしている「パクチー畑で採れたハチミツ」が岡山マイルドパクチーと共に神前にお供えされ、販売スタートしたからです!

(神前には、パクチーとハチミツがお供えされました。)

パクチーの花の蜜を集め、とても爽やかな味のハチミツが出来上がりました。もっとたくさんの方に知っていただき、美味しい天然の純粋なハチミツを召し上がっていただきたいなと思っています!

(可愛いミツバチさんがパクチーの花から蜜を集めます。)

お祭の後、実は密かに植田さんが打ち上げ花火を準備されていました。
ほとんど告知はされていませんでしたが、植田さんがパクチーを栽培する地域が少しでも元気になればと企画したもの。
これを残さないわけにはいきません!私だけ少し早めに撮影場所へ移動してロケハンしました!笑

(植田さんが準備した花火は、夜空に大きく美しくあがりました。)

思い入れのある祭だけに、花火の美しさも格別です!
地元も子供たちも大人たちも、きっとこの花火を見上げて、元気をもらっていたと思います。

来年こそは盛大にパクチー奉納祭を開催したいものです。
その際には、ぜひ、みなさまお越しくださいませ。

▼パクチー奉納祭 当日の様子

(当日は、ZoomとYoutubeを使ってライブ中継。ご自宅からご覧になる方もいらっしゃいました。)

長崎さん、楽しくお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

例えコロナ禍であっても、神社は地域の方に楽しんでいただける空間を作り、街を元気づける場所であり続けたい、という熱意が伝わってきました。また、総社宮の祭は、地域の人と人、そして人と神社のつながりを作る大きな役割があることを実感しました。

今年は、いつもとは違う形の祭だったとしても、地域の子供たちにとっては、かけがえのない最高の夏の思い出。このような神社での楽しい思い出が一つひとつ積み重なっていくことが、彼らが大人になったときにまた神社を大切にすることにつながるのだと思います。

「神輿をあげるだけが祭じゃない。」
今回の取材を通して、祭エンジン代表 宮田のこの言葉を思い出しました。
祭の本質的な価値、現代における役割や意味を皆で考え、捉えることができれば、今まで通りの形だけではない、新しい形で地域の祭の未来を作っていくことができるのかもしれません。

これからも祭に熱い方々への取材を通して祭について勉強し、祭の未来について考えてきたいと思います。

長崎さんがお話されていた岡山パクチーや神社ハチミツは、祭エンジンで購入できます。
(購入いただいた金額の10%は、備前国総社宮へ寄付し、祭のための活動資金に充てさせていただきます。)
▼購入はこちらから
https://matsuriengine.com/matsuri_list/story2_gion/#gift-253

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