「祭」STORY
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岡山県岡山市中区祇園
全国唯一の“パクチー奉納祭”を運営する地元農家 植田輝義さん。
「奉納祭の取り組みを拡大し、神社や農家、地域に元気を届け続けたい。」
植田さんは、生まれも育ちも兵庫県。結婚を機に岡山県に移住し、奥さんの実家である農家に就農されて黄ニラと岡山パクチーを栽培しています。
黄ニラは、明治5年からの歴史ある農作物。岡山パクチーは、市場関係者からの誘いをきっかけに、パクチー嫌いだった植田さん自ら試験栽培し「日本一食べやすいパクチー」を開発する!という情熱の元、誕生。
植田さんは就農して出会えたご縁に感謝しており、岡山に恩を返したいと思うようになったといいます。
奉納祭の始まりは、武部宮司からの「パクチーを奉納していただき、祭ができないだろうか?」という相談でした。
昔は神に農作物の豊作を祈って祭をし、神社と人々の生活は密接につながっていましたが、現代では農業人口も減り、日常生活と神社が遠くなっています。
祭の参加者も減少している今、新しい方法でつながりを復活させたいという宮司の想いから生まれた案でした。植田さんは、地域貢献のチャンスと感じ、一緒に企画・運営することを決めました。
祭の当日は、地元の民謡踊りの先生が考えた振付、地元ミュージシャンが作った曲で「岡パク盆踊り」が催され、屋台もパクチーメニューのみが出店。
地域の人たちが触れ合い、楽しい時間が流れ、そして目の前には美味しいと喜んでくれる人たちがいる景色に感動したといいます。
「自分の作った岡パクで笑顔が生まれたことが嬉しい。地元の小さい農家が神社に関わり、地元に貢献できる満足感がありました。」
祭の舞台となった備前国総社宮には、平成4年に放火にあい、拝殿・正殿ともに消失した歴史があります。その後、平成27年の竣工祭から御神輿をあげ始めたり、地元産業を巻き込んだ奉納祭を実施したり、オンライン御祈祷をしたり、再建後の新しいご縁作りに励んでいます。
武部宮司は、近隣の氏子さんはもちろん、全国の方に「こんな神社があるんだ」と知ってもらい、離れていても繋がっていると感じられる神社でありたい、といいます。
「自分は総社宮の応援団長として関わり続けたい。」
植田さんは、奉納祭でもらったご縁の恩返しに自分を通して総社宮の魅力を届け、新たなご縁作りを応援したい、と祭エンジンプロジェクトに参画しました。
地元の農家が神社へ農作物を奉納し、祭をする。そして、食材を通して人が出会い、神社や町が元気になっていく、このサイクルを作ることができれば、全国の神社、農家に希望を届けることができるはずだと植田さんはいいます。
小さな農家と神社で作る祭、そして総社宮との新たなご縁作りを応援してくださる方へ、感謝の気持ちを込めて「岡山パクチー」と備前国総社宮で作った「神社蜂蜜」をお届けします。
総社宮の北側の農場で栽培された岡山パクチーと、境内地で育ったミツバチから採蜜した蜂蜜。大神様の恵みの元、たくさんの岡山パクチーと蜂蜜がとれました。自然の香りや豊かな味わいから総社宮を取り囲む大自然を感じていただけると嬉しいです。