海外から見た日本の祭 〜From クロアチア〜

祭MAGAZINE

様々な視点から祭を研究し、祭の魅力を再発見する「お祭研究女子会」が発行する「まつり結び新聞」第2号の中から、今回はクロアチア在住のモニカさんが執筆した記事をご紹介します。

▼まつり結び新聞 第2号
ダウンロードはここをクリック

モニカさんは日本への留学中に数々の祭に参加し、お神輿を担いできました。
その数はなんと、数え切れないほど!

現在はクロアチアの大学で教授のアシスタントをしています。
学生に日本の祭について教えると、祭はもちろん、日本の伝統文化に興味をもってくれる姿を見て、世界中に日本の祭を知ってほしいと考えるようになりました。
祭への理解をより深め発信していくため、お祭研究女子会の活動に参加しています。

日本語を初めて聞いたときに日本に惹かれ、知りたくてたまらなかった

Q. 日本に興味持ったきっかけは、何ですか?

高校生のころにテレビで初めて日本語を聞いたその瞬間、日本語を好きになりました。また、これもテレビですが、関西学院大学グリークラブの学生がクロアチアの有名なオペラ、アリアの話をクロアチア語で美しく歌いあげる姿を見て、本当に感動しました。

それから日本語の勉強を始め、毎週クロアチア日本大使館の図書館に行って日本についての本を全部読みましたがもっと知りたい気持ちが止まらず、日本語・日本文化学部がある大学に入学しました。

Q. 日本の生活で感じたことは?

日本は母国からとても遠いのですが、ひとりぼっちという孤独感が全くありませんでした。大学の先生たちと寮の大家さんたちが優しくて、まるで日本に家族ができたように思いました。

そして、神輿クラブに入ってからは私の世界観が広がりました。だんだんと、帰国したくないという気持ちも出てきました。私は日本の生活で本当の自分を見つけられた気がします。

祭を通して人のあたたかさ、国を超えた繋がりを実感した

Q. どのようにして日本のお祭りを知りましたか?

クロアチアの日本大使館にあった本で、祭のことを知りました。さらに、大学の授業で日本人留学生による祭についての発表があり、祭の映像を見せてもらいました。日本独自の伝統的な祭が魅力的で、すぐに気に入り、日本に留学して祭に行ってみたいと思いました。

そして、筑波大学への留学時に宮田さん(明日襷代表理事)と出会い、お話を聞いてから、祭に参加したいという気持ちが益々強くなりました。

また、神社でお参りをしていたときに偶然、祭の前のお神輿の準備を見かけたことも印象的な出来事です。お神輿の綺麗さに感動し、準備をしていた皆さんが親切にお神輿についてたくさんお話をしてくださって、とても勉強になりました。(足柄金太郎祭だったと思います)

Q. 日本の祭のどんなところが好き?

祭を大切にしている人が集まって、お神輿を一緒に上げることが好きです。私も祭に参加してきましたが、神輿を担ぎながら甚句を聞き、歌うことがとても好きです!

(茨城県筑西市の下館祇園まつり)

Q. 祭での思い出を1つ教えてください。

お神輿を担いだのは10回以上ですが、初めて参加した祭は北鎌倉の祭でした。初参加にもかかわらずお神輿を先頭で担ぎました。お神輿はとても重くて肩が痛かったのですが、たくさん応援していただいたことが印象的で、それまでの人生で最も感動的で幸せな経験だと感じました。

日本で最後に神輿を担いだ日のことはきっと一生忘れません。横浜蒔田杉山神社例大祭、横浜栄区公田神明社例大祭と、1日に2つの祭に参加をしました。最後の祭なので後悔したくない、あきらめたくないという気持ちで、肩から血が出ても一生懸命お神輿を担ぎ、祭の後は感動で涙が止まりませんでした。祭が終わった後に皆さんとお祝いをし、絶対にまた一緒にお神輿をあげると約束しました。

自分の価値観を変えてくれた祭をこれからも守りたい

Q. クロアチアにも祭はありますか?

クロアチアの祭はカトリック教の特徴が強く、日本の祭とは全然違います。私は伝統文化がとても好きなので、クロアチアの祭も大事にしたいですし、守りたいと思っています。

Q. あなたにとって祭とは?

私にとって祭はとても大切な行事です。日本の代表すべき文化のひとつだとも思います。日本の祭について私は十分に理解できていないかもしれませんが、これからも大切にします。

皆さんとお神輿を担ぐことは感動的で、言葉で言い表せないほどの気持ちなのです。私が大切に思っている祭のことをクロアチアや世界中に紹介したいです。

(クロアチアの先輩、メラニーと一緒に夏祭りを満喫!)

モニカさん、ありがとうございました!

モニカさんのお話を聞いて、遠く離れたクロアチアと日本が祭を通して繋がっているように思いました。
祭が繋ぐ絆は国や言葉の壁を超え、人や文化への尊敬の念を生んでいます。

世界中の人に祭のことを伝え、守っていきたい。
そんな思いから、モニカさんはお祭研究女子会の海外メンバーと共に「まつり結び新聞」を英語翻訳に取り組んでおり、さらに、祭や日本文化を専門的に研究するため、日本の大学院への進学も目指しています。
また一緒に神輿をあげるという約束を果たせる日がくるまで、できることをする。
モニカさんの心意気を感じます。

祭に参加することが厳しい現状の中でも祭という約束の日をより充実させるため、祭のチカラを信じ、今できることをしていきたいと思います。

▼お祭研究女子会へのお問い合わせは、公式インスタグラムからご連絡ください♪
お祭研究女子会Instagram(@matsuri_joshikai)

 

(Text by モニカ・角屋 桃子/祭エンジン事務局)

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