花火師さんと共に考える「未来の花火と祭」

祭MAGAZINE

祭エンジン事務局の伊藤です。

今、祭のためにできることは、様々な立場から祭に関わる方の意見を聞き、共に祭について考えることです。

今回は、現役の花火師さん11名が主催した、未来の花火を語るオンラインイベント『ミラはな』に参加させていただきました!
参加した祭エンジンメンバー、祭研究女子会のメンバーからの気づきをご紹介します。

『ミラはな』とは?

まず、『ミラはな』とは、未来の花火業界を担う花火師の皆様が主催となり、今後の花火の在り方について探求し、創造していくコミュニティを創るべく生まれた、オンラインイベントです。

2021年9月29日(水)に第0回目のミーティングが開催され、祭エンジン・祭研究女子会から合計9名参加させていただきました!

▼ミラはなって?(公式SNS抜粋)

日本の伝統文化、技術である花火。
その花火の製造や打揚に携わる煙火店(花火事業者)有志による未来の花火を考える集まりからこの活動は始まりました。
コロナ禍において全国で多くの花火大会が中止や延期を余儀なくされるなか、これからの自分たちのあり方、地域や社会との関わり方をふくめ、未来の花火のあり方を模索するべく対話を重ねてきました。
そんな中で、花火関連事業者だけでなく、日本中のより多くの皆さんと一緒になって、未来の花火のあり方を探求し、創造していく花火で繋がるコミュニティを創りたい。
そんな想いから、『ミラはな』は生まれ、このたび、試験的な取り組みとして第0回『ミラはな公開ミーティング』を開催することになりました。

我々が参加できたのは、まつり結び新聞第2号でインタビューした、徳島県の花火師・岸さんからのご招待です。

当日のミラはな参加者は、約60名。

全国各地の花火好きな方が集まり、祭関係者だけでなく、写真家さん、養豚農家さん、日本の伝統工芸を担う方など、多様なバックグラウンドを持つ皆様と、それぞれの視点から未来の花火について考える時間となりました。

▼当日のタイムスケジュール

第一部 全国11花火事業者による公開MTG(50分)
第二部 参加者全員参加のディスカッション(40分)
第三部 まとめ(30分)

花火師さんが知りたい花火のこと

第一部の公開MTGでは、花火師さんから今日の参加者に聞いてみたいこととして、たくさん質問が上がっていました。

・花火って人生に必要?
・あなたにとって花火とは?
・どんな花火大会に参加したい?
・花火をどこから見るのが好き?
・夏以外の季節だといつ見たい?
・花火って日本文化なのか?エンタメなのか?
・花火大会の嫌なところは?
・花火って何のために見に行くの?
・リアルで見る花火以外、画面越しの花火への印象は?
・伝統を重視する花火業界が今の時代とズレていると思う点は?

未来の花火を盛り上げるために真剣に向き合い、可能性を探す花火師さんの姿勢に胸が熱くなりました。

第二部のディスカッションでは、5グループに分かれ、これらの質問について各グループで意見交換。

参加したメンバーが感じた気づきや新たな発見をご紹介します。

 

沢山の笑顔を作る花火と祭を無くしたくない

(祭エンジンメンバー・大学生/坂本 祭)

私は、祭が大好きです。
理由は沢山の人が集まる事ができ、集まった人たちを笑顔にすることができるからです。

そんな私が思う理想の祭とは「沢山の人の記憶に残り語り継がれる祭」です。

語り継がれる祭りとは具体的になんだろう?と考えたときに私が真っ先に思い浮かぶのは、きれいな花火と道に並んだ屋台です。祭は年齢を問わず、誰もが楽しむ事が出来ます。そんな老若男女誰でも楽しむことができる「祭」というイベントは素晴らしいものであり、無くしてはいけないものだと考えています。

花火も同義であり、誰もが楽しむことができ沢山の人を心から笑顔にさせることができるものだと今回のイベントに参加し、感じました。そんな心から人を笑顔にさせる仕事に就いている方のお話を今回は聞く事ができとても貴重な時間を過ごす事ができました。

また、その職業に就く人達は、更に沢山の人たちに笑顔を届け、凄い花火を作りたいという想いから今回のイベントを行っていて職人さんの熱い想いが伝わりました。

そんな方たちが祭の花火を打ち上げるということは、「今まで以上に楽しむことが出来て、きれいな花火が沢山みれるということだ!」と感じ、ワクワクしながらお話を聞かせていただきました。祭の重要な役割を担っている花火師の方々が熱く語り合い打ち上げた花火は、人々に語り継がれる祭になり、日本の伝統的文化になるのではないでしょうか。

今回のイベントはとても刺激的で自分にとって花火とはどのような存在なのかを考える時間になりました。

 

花火と祭を身近に感じる人が増えて欲しい

(祭研究女子会/大住 歩)

イベント参加者から「自分たちの感じている花火の規模感として、線香花火などの手持ち花火の次に花火大会で打ち上がる打上花火があるというイメージなので、中間規模の花火が無いように感じる」という意見が出て、目から鱗でした。

見る側は、打上花火=大きい花火大会というイメージがあって、プライベート花火やサプライズ花火をしてみたいと思っても、どこでできるのか、どうすればできるのか、どれくらいの費用感なのか、ということがなかなかイメージしづらいのかなと感じました。

また、規模によりますが保安距離や人員の確保などの必要な手続きが煩雑な部分があるので、花火を上げること自体にハードルを感じてしまうこともあるのかなと。煩雑な手続きをできるだけスムーズに進めることができる規模で花火を打ち上げられたら、もっと身近に花火を感じられるのかなと思いました。

未来の祭もみんなにとって身近で、毎年の恒例行事になってほしいな、と思います。

進学や就職を機に地元を離れた若い人たちが、その時期だけ地元に帰って祭に参加してみたり、結婚などを機に地元に帰ってきたときに気軽に家族と参加してみたり。もうそんな時期だね、お手伝いしますか、という話ができるくらい気軽に輪に入っていけるような愛される行事になってくれればいいな、と思っています。

 

花火師さんの想いを世の中の人に知ってもらいたい

(祭研究女子会/利根川 舞)

地元の花火大会で毎年のように花火を観に行っていたのですが、この花火をつくっている花火師さんはどんな人で、どんなお仕事をしているんだろう……と思うことがありました。

実際に、今回のイベントで花火師さんの近況や想いなどを伺っていると、他国の花火や未来についても幅広く目を向けられており、日本の花火そして、自身がつくる花火に対して向き合う姿勢がとても素敵だなと思いました。

その想いをもっと知りたいし、もっと世の中の人に知ってもらいたい。そう強く感じるディスカッションでした。

コロナ禍においては、サプライズ花火なども開催されるなど、遠くから見ることができる花火だからこそ実現できた、取り組みもありました。花火大会が軒並み中止になる中、ほんの数分であっても花火を生で見ることができ、嬉しかったのを覚えています。

花火師さんから「形は変われど、不特定多数の人を感動させるツールを絶やさないようにしていきたい」というお話がありましたが、私も自分の好きなもの、誰かが好きなものはいつまでも続いて欲しいと思っています。この想いを改めて胸に刻んで、祭研究女子会の取り組みをしていきたいと思いました。

 

おばあちゃんになったら孫と花火が見たい

(祭研究女子会/渡邉 葉子)

私にとって、花火は毎年、夏に欠かせないもので、コロナが落ち着いたら、当然復活するものと、思っていました。今回、ミラハナのイベントに参加して、花火師の皆さんが、「今こそ花火の今後について、議論しなければいけない」と、考えていることを知りました。

私は、花火や祭が、未来に続くことを願っています。おばあちゃんになったら、自分がそうしてもらったように、孫と花火を見たいです!

近年、音楽とばっちりタイミングを合わせて花火を上げる技術が進んでいるそうなので、未来の花火がどれだけ素敵なものになっているのかと考えると、ワクワクします♪

 

小さな祭で奉納花火をあげたい

(祭エンジンメンバー・飯盛神社 禰宜/松瀬 弘喜)

花火業界の話が聞けて、貴重な時間となりました。
私が神主として感じている伝統文化の継承と、少し違うかもしれないが、やはり神社界のみならず伝統を継承していくという事の大変さは一緒だと感じました。

そして、業界が横の繋がりを求めている事も感じました。
(是非clubhouseをやってほしいと個人的に思いました。)

あと、小さな神社でもできる花火を開発してほしいです。小さな氏神様などのお祭りでできるリーズナブルな奉納花火があると嬉しく思います。

貴重なお話を、有難うございました。

 

祭の意義と共に未来へバトンを渡したい

(祭エンジンメンバー・住吉神社 神主/柴田 良一)

コロナ禍で、花火大会などの開催が中止や規模縮小になっていますが、それでも多くの花火師さんたちが、前を見据えて花火の未来と可能性を模索する姿に感銘を受けました。

私たち日本人を含め人類は未来に向かって生き、それに伴って考え方も変化していきます。それは悪いことではありません。しかし時として私たちは、親に限らず無限の「お陰様」によって今ここに存在していることをついつい忘れてしまう生き物でもあります。

祭の意義はたくさんあるでしょうが、その中でも祭り空間と言うのは「過去・現在・未来」即ち「祖先・私たち・子孫」の交流の場であると言えるでしょう。祭りやその準備・片付けなどにおいて行われるさまざまな所作は、祖先から受け継いだものであり、「私」がそれを行うことで子孫へと自然と繋がっていきます。祭のこうした意義を失わせることなく、未来へバトンタッチしていきたいと思っています。

 

花火は四季を感じる大切な日本文化

(祭エンジンメンバー・グラフィックデザイナー/オリヴィエ・エヌトル)

コロナがあって色々なことが中止になったけれど、回復するチャンスになり得る時期なのかもしれないと感じました。

未来、花火はどんな形になると良いか?現状、足りていないことはあるか?世界中で大変なことが沢山あったけれど、個人もしくはコミュニティーでできることはあるか?花火は今の世界で必要か?やめた方がいいか?

このようなたくさんの問いが生まれましたが、少し話しただけでも凄く良い時間になったと感じました。

祭と一緒で、花火は日本の生活で大事な物だと思います。
花火はエンターテイメントだと思っていたけれど、文化的にも重要だと感じました。

花火は世代関係なく、家族と友人と、そしてデートでも、宝物のような思い出を作るチャンスをくれます。

私のような外国人として、花火は日本の四季を感じる文化です。

春の花見、夏の祭、盆踊り、花火、秋の祭、紅葉、冬のイルミネーションや、ハロウィン、クリスマス。
今年は花火が見えなくて、寂しい夏でしたが、来年の夏は、空いっぱいの花火が見たいです。

 

未来に向けてリアルとオンラインをつなぐ工夫が必要

(祭エンジン事務局・祭研究女子会/角屋 桃子)

花火大会は年に一度の特別な行事、そういう点でも祭と共通するなと感じました。

親戚一同が集まって暗い中、河川敷まで歩いて向かったあの道、祖母がはりきって作ってくれたご馳走、花火が打ち上がるまでわくわくしながら夜空を見上げ、星を数えたあの夏の思い出。社会人になってからは職場で社員の家族も集まって、幼い頃は見上げていた花火をビルから見下ろし、これも最高に綺麗で感動したことを思い出しました。花火大会は年に一度の楽しみで、次は親戚の子どもたちを連れていきたいと思っています。

子どもたちと一緒に楽しみたいし、同じ感動を味わってもらいたい。だから、これからも花火大会は続いてほしいと強く願っています。(なにわ淀川花火大会)

また、花火はリアルに見てこそ、その感動をより実感できるが、いつでもどこでも花火を打ち上げられるわけではない、安全面のことから警察による規制がかかること、そして花火をあげるためには資金面以外に人手の問題もあるので、それをクリアする対策が必要だということを初めて知りました。
(花火をあげたいなら、ボランティアを300人集めてください、と言われるらしい)

また、オンラインでの花火鑑賞が悪いわけではないし、画面上でも美しさは感じられるが、舞台やコンサートを画面越しで見るのと同じで、映像を見ながら、「現場で見られたらいいのにな」と思ってしまいそうだなと思いました。花火をリアルで見たときの鼓動、周囲の人の感嘆の声などは画面越しでは伝わりきらないので、、映像でどうしても見たいかと言われればそうでもないというのが正直なところです。

それでも、多くの人に花火に関わってもらったり、知ってもらったりするにはオンラインなどの活動も必要だと思うのでリアルとオンラインを繋ぐ工夫が必要な点は祭も同じだと思いました。

コロナによって意識が変わり、人混みを敬遠し、混み合っている場にいること(密になること)が悪いという風潮はしばらく続く可能性がありますが、(すでに取り組みも始まっているとは思うが)企業、団体、個人が協力して花火が見える場を提供したり、チケット制にしたりして人の数を分散させることで、花火大会のために足を運ぶ人を遠ざけないようにするのが良いと思いました。

 

未来の花火と祭のためにつながりを作りたい

(祭エンジン事務局・祭研究女子会/伊藤 里加子)

花火業界ってどんな人達がいる世界なのか知らなかったのですが、花火について誇りを持ってお話される姿や全国の花火師さん同士の仲良しな雰囲気を見て、明るくて楽しい人たちのいる業界なんだと感じ、さらに花火のことが好きになりました。

特に印象的だったのは、花火師さん、和紙の会社さん、農家さんと立場は違っても悩んでいることは同じで「いかに自分たちの仕事をたくさんの人に知ってもらうか、興味を持ってもらうか」ということです。情報発信を専門とする業界にいる身として、何か力になれる方法を考えたいなと思いました。

グループでの対話を通して仕事の内容も然り、どんな人が花火に携わっているか、というのも発信していくことに可能性を感じました。
同じ花火を見ても、今回お話した岸さんや小幡さんが関わっている花火なんだ、と思って見る花火は、これまでよりも身近なものに思えるし、成功したら自分ごとのように嬉しく感じると思います。また一味違った感動体験が味わえそうでワクワクしました。

このように異なる立場で祭に関わる人たちがつながり、皆で未来のことを考えていけば、まだまだできることはたくさんあると思ったし、とても希望を感じる時間でした。

今だからこそ花火のため、そして祭のためにできることは、熱い想いでつながり、仲間を作ることだと思います。ミラはなで出会えた皆様とのご縁に感謝し、共に未来の花火と祭について考え続けたいと思います。

(当日の集合写真)

いかがでしたか。

花火師さんにお会いしたことのない方、話を聞いたことのない方が多いのではないでしょうか。

今回、花火業界の未来を担う皆様からお話をお聞きし、我々も改めて未来の祭の在り方について想いを巡らせることができました。

これからも祭エンジンでは、祭に関わる様々な業界とつながり、未来について考えていきたいと思います。また、次回のミラはな会議に参加できることを楽しみにしています!

ミラはな主催者の皆様、参加させていただき、ありがとうございました。

 

▼ミラはなに招待してくださった花火師・岸さんの会社(岸火工品製造所)
http://kishi-hanabi.com/info/con1.html

▼ミラはな公式SNSは、こちらから!
Twitter:https://twitter.com/miraihanabi2021
Instagram:https://www.instagram.com/miraihanabi_2021/
Facebook:https://www.facebook.com/miraihanabi2021/

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(text by 伊藤里加子/祭エンジン事務局)

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