この祭MAGAZINEでは、お祭研究女子会が発行している「まつり結び新聞」に書かれた記事からもう一歩踏み込んだ内容をご紹介しています。
今回は、埼玉県鴻巣市原馬室(こうのすし・はらまむろ)の「ささら獅子舞」の記事についてご紹介します!
▼まつり結び新聞 第1号
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この記事の執筆者は、ささら獅子舞で篠笛を担当している利根川 舞さん。
利根川さんは、祭エンジンの理念に共感し「地元の祭のために今、私ができることをしたい。祭がもっと愛されるように発信したい」と連絡をくれた、お祭研究女子会の創立メンバーです!
なぜ地元の祭に関わるようになったのか、祭で何を感じたのか、そして今後に向けてた想いなどを聞いてみました。
篠笛は、みんなの音があるから吹ける
Q. 篠笛として祭に関わるようになったきっかけは何ですか?
ささら獅子舞に篠笛の役者として参加するようになったのは12歳の時なのですが、最初のきっかけは、小学校でのクラブ活動でした。6年生のとき、獅子舞棒術の後継者育成のために、保存会のおじちゃん達が学校に来て教えてくれる新しいクラブができたと紹介を聞いたのが最初ですね。
人が足りない、と言っていたのを聞き「興味はあるし、小さい頃から見てたものだし、ちょっとやってみたいかも」と思って、獅子舞棒術のクラブに参加しました。もともと他に入りたいクラブはあったんですけどね(笑)今は、あのとき獅子舞棒術を選んで良かったなと思っています。
入部後は、獅子舞、棒術、篠笛から、好きなものを選ぶことができて、直感的に篠笛を選び、そこから16年続けています。
最初は、音を出すのもいっぱいいっぱいでした。リコーダーと構造も違うからやったことなくて難しいし、楽譜もないし、全て見よう見まねで必死。(笑)音を頭で理解するというより、体に染み付くように覚える、といった感覚です。
お祭のときには、獅子舞に合わせて何時間も吹き続けるのですが、いつもおじさんの音に合わせて吹いていました。だから、たまに1人で吹くと、わからなくなるんです。悔しいですが、みんなの音があるから、自分の音を確かめられて吹けていたんだなとも感じますね。
447年続く獅子舞棒術の歴史の中にいる喜び
Q. 獅子舞棒術の好きなところを教えてください。
獅子舞棒術は、もともとは田楽師から鴻巣に伝わった文化のようで、市内には同じ系統の獅子舞もあります。うちの獅子舞の好きなところ……顔が美形ですよね(笑)。
見ていて面白いポイントとしては、7月に行われる「祈祷」と8月に行われる「祭典」では獅子の見せる表情が違うところですね。「祈祷」では悪疫退散や家内安全を、「祭典」では五穀豊穣、天下泰平を願って奉納されます。「祭典」のストーリー性のある演舞も見応えたっぷりなのですが、「祈祷」の最後には神社などをまわって払ってきた悪いモノを捨て置く場所があって、その場所の演舞では獅子が走り回りながら踊るんです。そのあとは、獅子や笛に宿っている神様が帰るまで笛も吹いてはいけない決まりがあるんですよ。走る姿にユニークさを感じる一方で神事としての役割を感じる場面ですね。
実は、今年で447年目を迎えるのですが、私が16年獅子舞に携わる中で、長い歴史の中にいること自体に喜びを感じますね。また、練習、お祭当日など、地元の皆さんの温かさを感じることがたくさんあります。地元の皆さんに育ててもらったと言っても過言ではありません。このような地元の人との繋がりが、私が地元の祭を好きな一番の理由かもしれません。
(一匹ずつお腹に太鼓をつけるタイプの獅子舞)
女性役者第1号としての使命
Q. 今後、どのようにお祭に貢献していきたいと思いますか?
実は、私は原馬室獅子舞棒術保存会では女子役者の最初の世代なんです。もともとは長男しか入れなかったのですが、後継者不足から長男のみの縛りがなくなり、小学校向けの後継者育成活動で女性でも参加できるようになっていきました。
なので、この土地の獅子舞棒術の女性役者として歴史に名を刻めるような活動をしていきたいですね(笑)今はいつものお祭はないですが、この時間を使って獅子舞について勉強してみたいなと思っています。全国にはいろんな獅子舞の形や歴史があるのですが、私はまだ地元の獅子舞しか知りません。全国の先輩たちから勉強させていただき「獅子舞の利根川」として胸を張って名乗れる日を目指して研究し、獅子舞の魅力を発信していきたいです!
(8月の「祭典」では獅子舞と一緒に、棒術を奉納します。)
利根川さん、ありがとうございました。
まつり結び新聞でも全国の獅子舞を取材し、横のつながりを作っていきたいですね!
彼女は、本業でPRの仕事をしながら、お祭研究女子会の活動に参加しています。
「PRの仕事で培ったスキルで、地元や日本各地にある素敵なお祭がもっと知ってもらえるように発信することで、大好きな地元や伝統を守り、未来へ繋げることができるよう活動していきたいと思います!」
そう笑顔で語る彼女からは、日本の祭を「継ぐ」ことに人生の時間を費やす覚悟を感じました。
このようにお祭研究女子会のメンバーの原動力は、祭への愛です。
これからも日本の祭を愛する気持ちを新聞で、お届けしていきたいと思います。
もうすぐ第2号が完成します!テーマは、夏祭りです★
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(Text by 利根川 舞・伊藤 里加子/祭エンジン事務局)