祭エンジン事務局の伊藤です。
2021年7月に創刊した「まつり結び新聞」。全国各地の皆様に読んでいただき、大変嬉しく思います!
第1号は、お祭研究女子会メンバーから各地に紹介し、神社や飲食店、博物館、染物屋さんなど様々な箇所に設置いただくことができました。応援してくださっている皆様、本当にありがとうございます。
(まだまだ設置場所、募集中です!)
祭MAGAZINEでは、まつり結び新聞に書かれた記事からもう一歩踏み込んだ内容をご紹介しています。
今回は「海外から見た日本の祭 From イタリア」の記事についてご紹介します。
▼まつり結び新聞 第1号
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この記事の執筆者は、イタリア ヴィチェンツァ市在住のマリアさんです。
マリアさんは、日本留学時に祭に魅了され、海外でも日本の魅力を分かち合いたい、という想いでお祭研究女子会に参加されました。
なぜ日本に興味を持ったのか、祭の何が好きなのか、そしてイタリアのお祭についても聞いてみました!
皆さん、こんにちは。イタリアに住んでいるマリアです!
大学院では日本語を専攻し、数年間日本に住んでいました。日本語を勉強する前に漢字の由来や和食、七夕など、主に日本の伝統に興味を持っていたので、留学してお祭に出会い、今もこうして日本の伝統文化に触れることができて本当に嬉しいです!日本での生活で支えてくださった皆様に心から感謝しています。
このプロジェクトに参加した理由は、伝統的な日本文化を守り、たくさんの人の記憶に残し、これからも大切にしていくために、私も何かしたいと思ったからです。
日本が好き!日本の事が知りたい!など情熱のあるイタリア人はたくさんいるので、その人たちに日本文化を広めたいと思います!
今日は、日本に興味をもったきっかけや、祭を通して感じたことをお伝えします。
日本文化に触れることが夢だった
Q. 日本に興味持ったきっかけは、何ですか?
両親からアジアに行った話をいつも聞いていた影響で、私も日本に興味を持つようになりました。特に、日本の漢字がとても魅力的でした。成り立ちや書き方のおもしろさ、発音の美しさに惹かれて日本語の勉強を始めました。日本語を学ぶうちに日本の伝統や慣習にも興味を持つようになったので大学では日本学を専攻し、北九州大学に留学しました。留学中には食文化や宗教、茶道など様々なことを学びました。
Q. 初めて日本に来たとき、どんな気持ちでしたか?
実際に日本へ行ったとき、やっと念願の日本文化に触れることができ、どんどん夢を叶えることができて嬉しかったことを今でも覚えています。
最初は、何もかも新しい経験で、食べ物、大学の科目、友達、習慣などいろいろ違うことに戸惑いましたが、すぐ生活に慣れました。北九州大学への留学後は沖縄と東京にも滞在しました。日本の大学で勉強しながら、アルバイトもして、楽しく忙しい日々を過ごすことができ、運よくホームシックにかからずに済みました。(笑)
留学で日本にいる間、本当に多くのことを学ぶことができ、日本の文化的背景を理解することができました。特に、お祭りや、神社で行う式典や家庭料理など、あまり知られていませんが、私はこういった体験を通してお互いの国の文化を分かち合っていけると感じました。
祭は賑やかさの中に伝統が息づいている
Q. どのようにして日本のお祭りを知りましたか?
友達に福岡の山笠祇園祭のことを教えてもらいました。祭の開始は朝4時でしたが深夜に北九州から福岡へ向かい、初めて日本の祭を見たのです。これまで体験したことのないような熱気と興奮に包まれ、祭のエネルギーを感じました!
その後、留学をした町でのお祭りにも参加して、沖縄からの友達がエイサーを教えてくれて、皆と一緒にエイサーを踊った思い出もあります。
数年後、ヨーロッパのスロベニアに留学したとき、明日襷の宮田宣也さんと出会って、お祭りや日本文化について深く学ぶことができ、さらにお祭りが好きになりました。
Q. 日本の祭のどんなところが好き?
神への信仰や、伝統、祭の精神が素敵で、祭がもたらす一体感や前向きなエネルギーに私は魅了されています。また、祭に関係する伝統文化、職人技は世界に誇れる芸術であると思っています。
お祭りの賑やかな雰囲気と、古くから受け継がれてきた伝統が息づく空気感がとても好きです。
Q. 祭での思い出を1つ教えてください。
私にとっては2回目の祭である、小田原祭の宮入りの瞬間が忘れられません。夜の提灯の光の下で甚句を歌いながら神社へ戻っていく光景がとても印象的でした。お神輿が神社へ戻ったあの瞬間は、目を閉じたら今でも鮮明に思い出すことができます。
(初めて見た日本の祭/福岡県博多市・山笠祇園祭)
(宮入の様子/神奈川県小田原市大稲荷神社)
世界中の力を集めて文化を守りたい
Q. イタリアにも祭はありますか?
イタリアでは、特に南イタリアに日本と同じようなお祭りがあり、マリア様や他の聖人がイタリア風のお神輿に担がれています。賑やかな雰囲気で、古くから伝統が受け継がれている点では、日本と通じるものがあると思います。 イタリアと日本の親密さと強い絆を感じます。
実は、日本と同じようにイタリアでも人口減少の問題が社会に影響を与えています。世界中の仲間たちと力を合わせて各国の文化をお互いに守っていけると良いなと思います。
Q. あなたにとって祭とは?
守るべき文化で、その大切さを忘れてはならないと思います。イタリア人は日本に興味があり、ある種の憧れを持っていると思いますが、日本といえばお寿司やラーメン、漫画ばかりが目立っています。私は祭や、祭を通して学んだ日本文化の魅力をイタリアに伝えていきたいです!
(日本にいた頃は、オミヤクリーン活動にも参加!/横浜市小菅ヶ谷・春日神社)
マリアさん、ありがとうございました!
インタビュー後、
「私は日本学者としてイタリアでも日本文化の魅力を伝えていきたい!」
と、熱い志を語ってくれました。
他国の文化を知ることは、自国の文化の見方が変わったり、また違う側面から魅力を発見できたり、自国への誇りにもつながります。世界中で各国の文化を理解し、応援し合い、一緒に盛り上げることができれば、未来に祭を届ける大きな力になるのではないでしょうか。
彼女は、今、お祭研究女子会の海外メンバーと共に、まつり結び新聞の英語翻訳に取り組んでいます。
純粋な祭への愛を綴った新聞が世界に届けば、また新しい仲間に出会うこともできるかもしれません。
規模の大きな活動が自粛される今だからこそ、小さくても確実に、志が同じ仲間たちと強い気持ちで未来を信じて、活動を続けていきたいと思います。
▼お祭研究女子会へのお問い合わせは、公式インスタグラムからご連絡ください♪
お祭研究女子会Instagram(@matsuri_joshikai)
(Text by マリア・伊藤 里加子/祭エンジン事務局)