「オミヤクリーン」のススメ〜もう一度神輿を上げるために〜

祭MAGAZINE

祭エンジン代表の宮田です。

コロナ禍により今年も全国の祭において神輿を上げるのは中止になっている地域が相次いでいる状況です。

もうしばらく再開は難しい状況ですが、全国では今できる祭の形としてオンラインでの試みがされていたり、規模を縮小しての開催となったり変化が見られますが、私がもう一度神輿を上げるための試みとして「オミヤクリーン」に力を入れています。

2019年からオミヤクリーンを始め、月に一回継続して来ましたが、オミヤクリーンの持つ力はあまりに大きく、いつかまたお神輿が上がる日までに出来る極めてパワフルな活動であると感じています。

祭の活性化のためになぜ今、「オミヤクリーン」なのかについてご紹介します。

祭が無くなったわけではない

「祭」という言葉が非常に広い意味で使われているため正確ではないかもしれませんが、神社における「祭」が無くなったわけではありません。

規模の縮小や、祭礼に関する行事は多くの場所で中止となっていますが、本来神社における祭は神前において神職により神事がなされる日です。

ほとんどの神社では氏子の方々と共に最低限の人数でも行われています。
「全国の祭が中止」となっているわけではなく、実際にはほとんどの祭は例年通りの日程で行われています。

コロナ禍により神輿渡御は中止に

一年に一度だけくる祭の日(数回行われる場合もありますが)は特別な日です。
多くの仲間たちが集まり共に神輿を担いだり、縁日で夏の思い出を作ったり、神社に集まり氏神様に思いを寄せる大切な日本文化です。

しかしコロナ禍により、そういった集いは全て中止になっています。
神輿を上げたり関連する行事は無くなり、当日は神職と氏子のみでの神事がなされるのみです。

毎年必ず行って来た神輿が上がらない・・・。

中には戦後初の中止となる祭もあったようです。

オンラインでの試み

全国では、コロナ禍で出来る試みとしてオンラインでの中継がなされています。

盆踊りやお囃子(はやし)、神事においてもライブ中継が行われ、WEB上で見ることが出来るようになっていました。現状の中でどんなことが出来るのか、祭を愛する人たちは考え行動しています。

※お囃子(はやし)
能楽・歌舞伎などで拍子をとり雰囲気を高めるために添える音楽。笛・鼓・太鼓・三味線・鉦(しょう)などを使う。

オミヤクリーンの考え方〜ハレの日をもう一度迎えるために〜

オミヤクリーンにおける考え方は、「今だから出来る祭のカタチ」と異なった意味での「今できること」だと考えています。

私は”今出来ないなら、次出来る機会に備えればいい”と考え、ハレの日を現状に合わせてでも行うのではなく、良きハレの日をもう一度迎えるためにケの日を充実させればいいと考えます。

オミヤクリーンは正に「またいつか神輿が上がる日」のための充実した日常作りなのです。

オミヤクリーンを始めたきっかけ

(ゴミに埋もれていた、たくさんの水仙が花を咲かせてくれました)

私がオミヤクリーンを始めたきっかけは、2019年の神輿が上がらなかったことにあります。台風の接近という事情もありましたが、直接の原因は天気予報が雨だったから。
地域のお偉いさん方の一方的な決定でした。

一年間楽しみにしてきて、様々な祭を周り一生懸命に活動していた私はこの決定があまりに悔しく、絶望していました。

しかし文句を言っていても仕方がない、未来に向けてもう一度行動しなければと今出来ることを考えて始めたのが「オミヤクリーン」でした。

助けてくれる仲間がいた

(仲間とともに境内を掃除)

1からはじめたオミヤクリーン。初めは一人でもやろうと思っていたのですが、仲間が助けてくれました。

ふと神社に目を向けて見ると、台風の影響か境内にはたくさんの枝葉が落ちており、そこに空き缶やビニールゴミなども混ざっていることに気付きました。

神社を大切に出来ていないのにお神輿の事ばかり考えていた私は大いに反省し、月に一度だけでもきちんと掃除しようと取り組むことにしました。

そんな頃から手伝ってくれた仲間に本当に感謝しています。

少しづつ増える仲間たち

(暑い日の草刈り)

オミヤクリーンを始めて半年ほど経つと、始めた頃には想像できないほどの仲間たちが集まってくれていました。
「毎月のオミヤクリーンを本当に楽しみにしています」と語ってくれる高校生もいます。
参加してくれるのは10代の子達が半数を占め、毎回のオミヤクリーンはとても大切な時間となっています。

またお神輿が上がる日のために

オミヤクリーンを行なってくれている子達は、お神輿を担いだことがない人たちばかりです。

お神輿を磨くために小屋から出して彼らに見てもらう機会があった時、本当にキラキラした目で「この神社にこんな立派な神輿があると知らなかった!絶対に清掃の仲間たちと担ぎたい!」と言ってくれました。

彼らが積み上げてきたケの日は、ハレの日に向かっています。

オミヤクリーンのススメ 〜ハレの日とケの日〜

なぜ私たち日本人の祖先は一年間の中にハレの日を作ったのでしょう?
お祭りの1日と残りの364日。
その両方の関係性があるからこそ豊かな生活に繋がっているのだと思います。

豊かな日常は素晴らしい祭のためにあり、輝くような祭の日はキラキラした暮らしのためにある。

お互いがお互いのために存在し高め合っていくことが出来るならば祭の日はより意味のある日となり、未来に届けることが出来るはずです。

祭を活性化させる極めて有効な手段として、私はオミヤクリーンを「ススメ」ます。

 

(Text by 宮田 宣也・石沼 竜一/祭エンジン事務局)

https://www.youtube.com/watch?v=umYuPRRdCGE

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